- そう
- I
そう(助動)※一※様態の助動詞「そうだ」の語幹。→ そうだ(様態)※二※伝聞の助動詞「そうだ」の語幹。→ そうだ(伝聞)IIそう【候】〔動詞「そうろう(候)」の転。 中世以降の語〕多く補助動詞として用いられ, 話し手の表現に丁寧の意を添える。 です。 ます。
「腹帯ののびてみえ〈さう〉ぞ。 しめ給へ/平家 9」「余の方へをたづね〈さう〉へ/幸若・屋島軍」
〔活用は「さう・さう・さう・さう・さうへ・さうへ」。 命令形「さうへ」に相当するものに「そひ」「そへ」の形もある〕→ そい→ そえIIIそう【僧】(1)〔梵 saṃgha の音訳「僧伽(ソウギヤ)」の略。 衆または和合衆と訳す。 仏門にはいって仏道を修行する者の団体の意から〕出家し, 仏門にはいって修行する人。 僧侶。 出家。 法師。 沙門(シヤモン)。 比丘(ビク)。(2)ある宗教に入信してその修行をしている人。IV「回教の~」
そう【双】※一※ (名)(1)二つで一組になるもの。「~の目」
(2)匹敵するもの。 並ぶもの。→ そうなし(双無)(3)「双調(ソウジヨウ)」に同じ。「~・黄・一越/花鏡」
※二※ (接尾)助数詞。 対になっているものを数えるのに用いる。V「屏風(ビヨウブ)一~」
そう【喪】人の死。 も。VI「親の~にあひて侍りける法師のもとに/拾遺(雑秋詞)」
そう【壮】※一※ (名・形動)(1)活力に満ちあふれ, 勇ましいこと。 男らしいこと。 また, そのさま。「叔父は老て益益~なれば/花柳春話(純一郎)」
(2)元気で充実した年頃。 三〇歳前後。 普通, 男性についていう。「年歯未だ~/日本風景論(重昂)」
※二※ (接尾)助数詞。 灸(キユウ)をすえる回数を数えるのに用いる。~とする相手の言動などについて, 勇ましく立派であると認める。VII「その意気を~する」
そう【奏】天皇・上皇に申し上げること。 また, その文書・書式。VIII「早うさるべき様に~を奉らせよ/落窪 4」
そう【宋】中国の国名。(1)周代の諸侯国の一((?-前286))。 殷(イン)の宗族微子啓が封ぜられ, 商邱(シヨウキユウ)に都し殷の遺民を統治したという。 斉・魏(ギ)・楚(ソ)の三国に滅ぼされた。(2)南北朝時代, 南朝最初の王朝。 東晋の武将劉裕が恭帝の禅譲を受けて建国(420-479)。 都は建康。 八世で武将の蕭道成(シヨウドウセイ)に帝位を譲った。 劉宋。(3)五代十国を統一した王朝。 趙匡胤(チヨウキヨウイン)が汴(ベン)(開封)に都して建国(960-1279)。 遼(リヨウ)・西夏の圧迫を受け, 1127年金軍の侵入によって江南に移り(靖康の変), 臨安(杭州)に都した。 これ以前を北宋, 元軍に滅ぼされるまでを南宋という。IXそう【宗】(1)おおもと。(2)中心となるもの。 尊ぶべきもの。「介石疎逸曠淡(コウタン)なるを以て~となす/山中人饒舌」
(3)祖先の中の有徳の人。Xそう【宗】姓氏の一。 対馬国守護家。 鎌倉期, 対馬国衙(コクガ)の在庁官人惟宗氏に出自。 少弐氏被官として地頭代となり勢力を拡大。 以後, 対馬島主として朝鮮との交易を独占, 江戸期は対馬藩主として朝鮮通信使の受け入れにあたる。XIそう【層】※一※ (名)(1)上へ上へと積み重なっていること。 また, その重なり。「~をなす」
(2)人を身分・生活程度・意識などによって区分した集団。「サラリーマン~」
※二※ (接尾)助数詞。 建物の重なりを数える語。XII「三~」
そう【左右】(1)左と右。 さゆう。「~の袖を顔に押あてて/平家 2」
(2)かたわら。 そば。 また, そば近くに仕える人。「~に目くはし有りければ/太平記 12」
(3)あれこれ言うこと。「実否(ジツプ)についての咎(トガ)の~あるべきか/平家 1」
(4)あれかこれかの様子。 決着。「いくさの~を待つと見るはひがごとか/平治(中)」
(5)指図。 指令。「御所へ申し入れて其の御~に依るべし/盛衰記 39」
(6)あれやこれや。 とかくの事。 また, 状況・様子。「王城へは誠の~は未だ聞こえず/御伽草子・俵藤太」
(7)あれこれと知らせる便り。 沙汰。「こちから~を致すまでは必ず見させらるるな/狂言・隠れ笠(虎寛本)」
(8)(年齢などの数を表す漢語のあとに付けて)前後。XIII「四十~の遊人風の男/あらくれ(秋声)」
そう【惣】中世の自治組織の総称。 特に, 室町時代にみられる村落の運営機構。 入会(イリアイ)や水利の管理運営・村落の自衛などにあたった。 また, 土一揆や年貢の百姓請などの基盤ともなった。 惣村。 惣中。XIVそう【想】考え。 構想。XV「~を練る」
そう【沿う・添う・副う】※一※ (動ワ五[ハ四])(1)主となるものから離れないようにする。 《沿》(ア)長い線状のもののわきを進む。 そばを行く。「流れに~・った道」「線路に~・って歩く」(イ)決まり・方針などに従う。 「政府の方針に~・って実施される」
(2)要望・目的などにかなう。 《添・副》「御期待には~・えません」(3)離れずに, そばにいる。 また, 付き従う。 《添・副》「影のように~・う」「身に~・ふ妹をとりみがね/万葉 3485」(4)人と親しく交わる。「人には~・うてみよ, 馬には乗ってみよ」
(5)男女が夫婦となって一緒に暮らす。 《添》「二人を~・わせる」(6)さらに別の物事が加わる。 付け加わる。 《添》「趣が~・う」「御位~・ひて牛車ゆるされて/源氏(薄雲)」〔「そえる」に対する自動詞〕‖可能‖ そえる※二※ (動ハ下二)⇒ そえるXVIそう【然う】〔「さ」の転〕※一※ (副)(1)相手にかかわる事態や, 相手が発言した事態を表す。 そのように。 そんなに。「~泣いてばかりいてもしかたがない」「まあ, ~怒るな」「私も~思う」
(2)(打ち消しの語を伴って)その程度がはなはだしくない状態を表す。 それほど。 あまり。「~昔の話ではない」「この品は~高くはない」「まだ~遅くはない」
※二※ (感)(1)相手に対する同意・肯定の気持ちを表す語。「~, 君の言うとおりだね」「~, よくできました」
(2)相手の言葉に対する軽い疑い・迷い・驚きなどの気持ちを表す語。「~, うそじゃないだろうな」
(3)話の途中で考えたり, 思いついたりしたときに発する語。「あっ, ~, ~, こんなことがありましたよ」「八月半ばの, ~, とても暑い日のことでした」
~かと言ってそうであるからと言って。→ かと言って~は問屋(トンヤ)が卸(オロ)さない勝手な要求を出しても相手はそのとおりには動いてくれないものだ。XVIIそう【甑】こしき。XVIIIそう【疎雨・疏雨】まばらに降る雨。XIXそう【相】(1)外に現れた姿・形・ありさま。 外見。「悪鬼の~で襲いかかる」
(2)吉凶などの現れた, 姿・形・ありさま。「女難の~がある」
(3)(ア)動詞の表す動作を, その動作が時とともに展開してゆく過程においてとらえたときのさまざまなあり方, およびそれを表現する組織的な文法形式。 「書いている」は動作が継続していることを, 「書いてしまう」は動作が完了していることを表すなど, 動詞と「ている」「てしまう」「てある」などとが結合した形式によって表される。 アスペクト。 態。 (イ)「態{(2)(ア)}」に同じ。(4)様子・ありさまを表す語の総称。 形容詞・形容動詞・副詞の類。 相言。(5)〔物〕〔phase〕物質系の中で, 状態が均一でかつ明確な境界をもち, 他と区別される領域。 気体・液体・固体の相をそれぞれ気相・液相・固相という。XXそう【箏】日本・中国のチター属の撥弦(ハツゲン)楽器。 木製(通常は桐(キリ))の長い胴の表面に一三弦(中国の現行の箏では二十余弦)を張り, 柱(ジ)で各弦を調律し, 右手指にはめた義爪(ツメ)で弾奏する。 日本には七世紀に中国から伝来し, 本来の雅楽用(楽箏(ガクソウ))のほかに筑紫箏(ツクシゴト), 俗箏(ゾクソウ)など箏曲用の各種が生じた。 伝来当初は琴(キン)と区別して「さう(箏)のこと」と呼んだが, 後に単に「こと」と呼ぶに至って用字混同を生じ, 「琴」字も代用される。→ 琴XXIそう【総】名詞に付いて, すべてがその状態にある, そのすべてを含むなどの意を表す。XXII「~収入」「~入れ歯」「~掛かり」「~ルビ」
そう【艘】助数詞。 船(比較的小さなもの)を数えるのに用いる。XXIII「一~」「二~」
そう【草】(1)下書き。 草案。「~を起し/経国美談(竜渓)」
(2)漢字の書体の一。 草書。 草体。(3)「草仮名」に同じ。(4)(正式のもの, 堅苦しいものに対して)略式のもの。 くずしたもの。XXIV「~の庭」
そう【荘・庄】「しょう(荘・庄)」に同じ。XXV「むかしの御~の所所/増鏡(藤衣)」
そう【葬】死者をほうむること。XXVI「~の時の作法・坐儀/沙石(一〇・古活字本)」
そう【装】(1)衣服を身につけること。 よそおい。 みじたく。「~を新たにする」
(2)書物のつくり。 本の体裁。XXVII「クロス~」「粘葉(デツチヨウ)~」
そう【騒】(1)中国で, 韻文の一体。 作者の憂憤の思いを表したもの。 屈原の「離騒」にはじまる。(2)「離騒」のこと。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.